顧客の開拓は永遠のテーマ

 1/20(土)から今年度のすみだ起業ゼミがスタートしました。今年のトピックは何といっても、会場が昨年までのすみだ中小企業センターから墨田区役所へと変わったこと。浅草駅からほど近く、横浜から通う身としてとても便利になりました。この界隈と言えば、印象的なのはやっぱり写真のこのビル(正確に言うと、ビルの上に乗っかってるの)でしょうけど。

 そして同じ夜には、昨年の卒業生の皆さんとお会いする機会に恵まれました。卒業生の皆さんにとっては去年のゼミ開始からちょうど1年経ちましたが、すでに開業にこぎつけた方、開業準備中の方、路線変更やさらに新しいことに取り組もうとする方、それぞれの1年について興味深く話を聞かせて頂きました。

 

お客がいないと、商売はできない!ただし…

 開業後の悩み事は様々ですが、「お客様をどう増やすのか」という悩みを聞くことはやはり多いです。どうやって自分の商品やサービスをお客様に知ってもらうのか、そしてお店に来てもらったり、商品やサービスを購入してもらうのか。あるいは、お店以外の場所でも売るようにするのか。

ちなみに、日本政策金融公庫総合研究所の「2017年新規開業実態調査」でも、「顧客・販路の開拓」は新規開業者の開業時、また開業後1年程度の両時点において、「苦労していること」の1番目に上がっています。

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_171225_1.pdf

 たとえば、自分の商品・サービスを認知してもらうための手段として、ホームページやSNSで発信する、ネット広告を出す、チラシを配る、など、色々な手段があります。そして、そうした手段のPRをメディアで目にする機会も多いです。実際にビジネスしている場合、業者からダイレクトメールが届くという人もいるでしょう。

 ここで、注意したいこととして、ホームページ、ネット広告、チラシ、これらは全て「手段」であるということ。つまり、お客さんをお店に集めたい、商品について知ってもらいたいなどの問題がまずあって、その問題を解決するための手段であるということです。

 したがって、広告を入れるか、入れないかということを迷う前に、現状の経営課題を自分なりに考えることが先で、それから、課題解決に有効な手段を探すことが重要です。

 

選択肢は1つではない(たぶん、正解も)

 マーケティングの手段は「マーケティングミックス」として4つのPにまとめられます。<Product(商品・サービス)、Price(価格)、Place(流通・販路)、Promotion(販促、顧客とのコミュニケーション)>

ホームページ、ネット広告、チラシ等は、このPromotionのツールです。つまり、マーケティング手段としては、他にも様々な手段があり、目的に合わせてどう選ぶか、あるいは組み合わせるか、ということが重要になります。

 

 たとえば、売上を2倍にすることが経営課題とした場合、

  売上=顧客数 × 顧客当たりの購買単価

ですから、売上を2倍にするには、お客さんを2倍にしても良いし、価格を2倍にしてもよいのです。お客さんを2倍にするには広告が効果的でしょうが、価格を2倍にするのであれば、今いるお客さんにいかに高い商品を買ってもらうか、たくさんサービスを利用してもらうかがポイントになるので、店頭での接客、まとめ買いを促すキャンペーンの実施などが有効になるかもしれません。

なかなかお客が増えないなと思っている、そんな時にネット広告の営業を掛けられると、これでお客が増やせれば課題解決…と考えてしまいがちですが、お客を増やすということは売上の構成要素の1つを増やすだけですので、その方法だけでいいのか、他の方法を組み合わせるのか、違う方法がいいのか。取りうる手段の中で、予算や時間の制約も加味しながら、よりベターな方法を探すことが大切です。

 

※ちなみに、創業時のマーケティングにおいては、「顧客は誰にするか?」というところから始めることが大切ですが、これはまた別の機会に・・・

 

そもそもの目標設定も重要

 それから、もう1つ考えたいのが、この経営課題の解決レベルをどのように設定するか、です。「売上を増やす」という場合に、売上目標は明確で、根拠のあるものでしょうか。例えば、副業としてお小遣い程度に稼ぎたいという人(この場合はそもそもマーケティングのための投資はしないかもしれませんが…)と、3年以内に2店舗目を持つための資金を確保したいという人では、やるべきことはたぶん異なるでしょう。

 

 日常業務に追われてしまうと、つい何をするかという手段ばかりを考えてしまいがちです。また、施策1つ1つの可否についていちいち検討の時間をかける暇はない、という状況もあると思いますが、それなりに費用が掛かりそうなもの、経営者自身、あるいは従業員の作業を要するようなものについては、少し立ち止まって、なぜそれが必要なのか、どうなりたいのか、という目的に立ち戻って考えることが、マーケティングに限らず経営上の施策を考える際に意識すべきことだと思います。

 また、コンサルタントとしては、顧客の問題の根本を特定して、真の課題解決に貢献することが、提供すべき価値であると、改めて思います。顧客・販路の開拓についても、前職や大学院での研究を生かし、経営者の方と一緒に問題と解決策を見つけ、実行するご支援ができればと考えています。

 

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●初回は、2/13(火)午後、都内にて開催します。

・経営理念(経営理念の必要性、経営理念と経営戦略の関係など)

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※各1時間

※終了後は交流のための食事会を行います。

 

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