プレゼンは、まず目的と相手の把握から始めよう

今週は、環境・エネルギー系企業のミートアップ(ベンチャー企業が、VCや投資家、金融機関、事業会社などにプレゼンし、ネットワーキングする場)を観覧しました。かつて大学院で日本のエネルギーのベストミックスやら、再生エネルギーの可能性やらを学んでいましたが、あれから15年、再生エネルギーの普及が順調に進んでいるとはいえません。ある意味、当時懸念していた課題がそのまま影響を及ぼしている、という印象です。ただ、この日のプレゼンテーションを聞いて、インターネット性能の進化やIoT技術の進展で、古くから概念としてはあった「分散型エネルギーシステム」が、インフラとして普及する技術的な土壌はいよいよ整っていることを感じました。

 

配布されたプログラムには、企業概要とともにミートアップ参加の「期待事項」が書かれています。企業が今回ミートアップに参加した目的に当たりますが、どの企業も「資金調達」「販路開拓」を挙げていました。ただ残念ながら、プレゼンの中でその意図が明確にわかる企業はなかったように思います。資金調達を期待するならば、どれくらいの資金がいつ必要で、その資金をどのように使いたいのか、結果としてどのように成長し、キャピタルゲインや返済原資を生むことが出来るのか、ということを示す必要があります。「販路開拓」を期待するならば、自社の製品/サービスが誰を顧客として想定していて、それゆえに希望する販路はどんなチャネル、ということを明確に伝える必要があります。目的に合わせてプレゼンの内容は変えるべきで、いつも同じ資料で同じように事業内容の説明をするのでは、十分ではないのです。

(ついでに言うと、このことは主催者側が参加企業に意識させることが重要であるとも思います)

 

また、各社プレゼンの後には質疑応答がありましたが、参加者によって事業計画を見る視点が異なるため、質問の中身が違います。ベンチャーキャピタルからの質問の多くは、「顧客として想定しているのは誰なのか、強いニーズを持っているのは誰なのか」「顧客がそのサービスを選ぶメリット、必然性、優位性は何なのか」といった、コンセプトやターゲットに関すること、その結果としての成長可能性について。金融機関からの質問は「このサービスの収益モデルをどう考えているのか」「この規模で事業は持続可能なのか」といった収益性に関する質問。事業会社からは、採用している技術のスペックや今後の可能性、課題に関する質問。プレゼン自体は、プレゼンの目的と、その目的を達成するために伝えたい相手を設定して、その目的と相手に適したものにアレンジするべきですが、色々な属性の聴衆が要る場合には、属性によってどのような質問が考えるか、それに対してどう答えるかについて考えておくのがよいと思います。「本命」ではない相手からの質問につまづいて、貴重な時間を消費してしまうのは非常にもったいないです。

 

私がプレゼンテーションについて講義する機会では、まず冒頭にお伝えするのは「プレゼンの目的・相手を把握する」ことです。今回はこのポイントの重要性を改めて強く認識する機会になりました。あと、日頃創業を志望する方に会って話を聞く機会があり、その際私がほぼ毎回聞くことは、顧客は誰?なんで顧客はこのサービスを選んでくれるの?顧客のニーズを満たすのに本当にこのサービスがベストなの?といったことで、ヒアリングのバリエーションが足りないんじゃないか、と自問してましたが、やっぱり大事なことはココでしょ!と再認識することができました。自信を持って頑張ろう(笑)

 

※今回参加したイベントは、関東経済産業局と中小機構が主催している「テーマ別ベンチャー企業ミートアップ」。今回はエネルギー・環境分野にテーマが絞られていましたが、テーマ制約のない「地方発!ベンチャー企業ミートアップ」というタイプ(こっちがメイン)もあります。

テーマ別ベンチャー企業ミートアップ

http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sogyo/29fy_venture_meetup_temabetsu.html

地方発!ベンチャー企業ミートアップ

http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sogyo/29fy_venture_meetup.html

 

※写真は私の講義風景ですが、なかなか目が開いた写真がないので、横向きで茶を濁す。