7/27(水)
東京商工会議所主催のシンポジウム
「第4次産業革命と中小ものづくりの可能性」に行ってきました。
http://event.tokyo-cci.or.jp/event_detail-71495.html
前半の基調講演も興味深かったのですが
この日の目的はハードベンチャー、
株式会社UPQ(アップ・キュー)の
中澤優子氏が登場する
パネルセッションでした。
UPQは、去年6月に創業、
その2か月後に24商品を一気に発売して
話題になりました。
創業者である中澤氏は
「携帯電話を作りたい」という思いで
カシオに入社し、
その思いを叶えて携帯電話の商品企画に就き
ヒット商品も企画したものの、
カシオが携帯電話事業から撤退したことから
その後退社し、フリーランス、
カフェ起業を経て(今も人気店だそうですが)
携帯含めた家電、家具を製造販売する
UPQを起業しました。
起業された頃に見たインタビュー記事で、
生産に関しては同じく家電ベンチャーの
先駆者であるCerevoの協力を得ている、
と読んでいたので
ものづくりについては社長自身は
あまり関与していないのかと思っていましたが
この日の話を聞くと、
中国を中心とする製造工場に開発開始から
量産時まで社長自ら足繁く通って
自ら進捗を確認し現場で意思決定を行っているようです。
「作っている物はスマホとか今時のものでも
やっていることは昭和のものづくり」
という言葉が非常に印象的でした。
この日の話で1点、
腑に落ちていなかったのが
「売り切り」を支える生産の仕組みです。
スピード重視で新商品を展開する同社では
小ロットで生産し完売したら販売終了、
というスタイルを取っている
(全ての商品かわかりませんが)
とのことだったのですが、
中国生産で小ロットのものづくりができるのか?
という点がわかりませんでした。
その後、
他のインタビュー記事を読んだところ、
この疑問への答えがありました。
世界中の企業の量産工場が集積した中国ですが、
人件費の高騰などの影響を受けて
ここ数年でどんどん東南アジアに移転しており、
稼働率の高くない工場が増えているという
現状があり、そのような工場に、
小ロット生産を委託している、
ということでした。
世界の製造現場も、知らぬ間に
刻々と変化しているのだと感じました。
そういう意味では、
コストだけを重視した中国生産が
ピークアウトしたここ1、2年だからこそ
取りえた戦略で、
狙ったのかどうかはわかりませんが
起業のタイミングとして素晴らしかったと言えそうです。
また、日本の電機メーカーは
家電製品のコモディティ化によって
収益性が悪化し、
経営が苦境に追い込まれたわけですが、
「コモディティ化=
(特別に高い技術がなくても)
誰でもどこでも作れること」を逆手に取り
日本のベンチャーが頑張っている、
というのが非常に面白いと思いました。
そして、もっとも印象的だったのは
「ものづくりは楽しい」
と笑顔で語る社長の姿でした。
一度は絶たれた携帯電話を作る仕事を
再び自分の手で取り戻した喜びをかみしめ、
日々を楽しんでいるのだろうと感じました。
(実際には日々大変な事ばかりなはずですが・・・)
最近の新商品には「電動バイク」もあるそうです。
今後もジャンルに縛られない
多彩な商品の発売を期待したいです。
このような家電ベンチャーがもっと出てきて
大手企業と健全に競合し、
家電市場における消費者の選択肢が増えることが、市場の理想の姿だと思っています。
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